フリーランスになって最初の頃は、報酬が安めの仕事をする方がほとんんどです。ですが、ある程度のスキルを積んでくると報酬が高い仕事をするようになります。しかしここで大きな問題が!
報酬の高い仕事は、支払いサイクルが遅くなるんです。ということで、今回は報酬サイクルの話。
今は報酬と言うことが多いけど、以前はギャラって言っていた
私がフリーランスのライターになったころ、多くの人は「ギャランティー」とか、「ギャラ」とか言っていたのですが、クラウドソーシングが普及したことでクリエイターは「報酬」ということが多くなったように感じています。
なんでもかんでもカタカナ語で言う風潮が進む中、逆光して漢字表記になったことは、個人的に素晴らしいことだと思っています。
おそらく自由業の人に払うお金をギャラと言っていた?
まぁ、私がどう感じようとどうでもいいと思いますが、笑
さてこの報酬。
多くの方は、最初は雀の涙のような金額ではじめると思います。実績ががないのでしょうがないのですが、いつまでもそのままでいてよい訳ではありません。できるだけ早く必要なスキルを身につけ、とっとと次のステップに進むべきです。
そして、報酬は段階的に上げていくことになります。
さて、ある程度の段階になると、ひとつの特徴が出てきます。
それはギャランティーが高いほど、支払いサイクルが遅くなるということ。
実際には全てが…というわけではないのですが、かなりの確率で支払いサイクルは遅くなります。
こうなると、報酬が大きい仕事は受けにくくなります。
報酬の支払が遅くなる二つの理由
なぜ遅くなるかが気になりますよね。
その理由はインチキでも、何でもありません。理由をすれば納得できるはず。
ちなみに遅くなる理由は二つあるので別々にお話してます。
プロジェクトが完全に終わらないと請求できないケース
一つ目のパターンは、プロジェクトが終わってからしか請求ができないというもの。
たとえばウェブサイトを作る場合、大きな会社になると製作期間が半年くらいかかるものもザラにあります。新商品や新システムなんかだと、もっと長いケースも。
このプロジェクトにライターとして関わった場合、出番は最初の立ち上げから原稿作成まで。原稿はかなり初期の段階で書くことになります。その後、 Web デザインがあり、コーディングがあり、何度かの修正が加えられた上で、社内プレゼンを通過し、やっとローンチされることになります。
この場合、支払われるのは成果物が納品された後。つまり、エンドクライアントにウェブサイトを納品したタイミングか、一般公開されたタイミングです。
私の場合、某通信教育のサイトのお手伝いをした時、「請求書を出してくださいね」と言われたのは仕事をはじめた半年後。最後の修正を加えた3か月後でした。もう忘れてるっちゅーの!
このケースの多くは、請求書を出した後の流れは早いことが多く、翌月末には支払われました。
こういった仕事はエンドクライアントが大きいところが多いですし、はっきり言って報酬はめちゃくちゃいい。しかも、実績としては十分すぎるのですが、支払いまでが長い…というジレンマにおちいります。
私の知り合いのITエンジニアは、仕事に取り掛かってから1年後に請求書を書いたという例もあります。当然、ン百万という報酬をもらっていましたが…
請求書を出してから支払いまでの期間が長いケース
もうひとつは、請求書を出してから支払いまでの期間が長いケースです。この期間を「サイト」とも言いますが、おっそろしいほど長いものがあります。
たとえば出版社がこの代表例。
月刊誌に関わった場合、5月号が書店に並ぶのは多くは4月初旬です。この請求書が発行できるのは、「発行月の末日」ということが多く、5月号なら4月30日に発行することとなります(そうでない出版社もあります)。
そして支払いは、翌々月末とか、翌翌々月末となります。つまり4月30日に請求書を発行し、振り込まれるのは6月30日、または7月31日となるわけです。
(ちなみに、私の知っている最長は半年後でした、怖)
「なんでそんなに遅いんだよ!」と感じると思いますが、これは出版社に売上が振り込まれるのが半年後が一般的で、業界全体がスローなんです。時代にはあってないですよね…
さらなる問題としては、月刊誌に毎月関わっていると、当然、毎月仕事をすることになります。
一般的には2ヶ月前ぐらいに仕事を始めるので、先ほどの4月30日に請求書を出す時点では、すでに7月号の仕事をしているということになります。
さらにちょっとややこしくなりますが、4月請求分の振り込みがあるのが6月30日とすると、その時点では9月号の仕事がはじまっています。こうなると、やっと最初の支払いをもらった頃には、売掛金が約5か月分たまっていることになるんですよね。
毎月20万円分の仕事をしていると、売掛金は100万円ですよ!!
信頼関係がなければ実に怖い仕事ですよね。
もちろん、間に編集プロダクションなどが入っていて、そこが良心的であれば、ライターやカメラマンデザイナーなどには先に報酬を振り込んでくれる場合があります。もちろんかなり搾取されていると思いますけど…
回避する方法はないのか?
こういう話をすると、「請求書があれば先にお金をくれる会社があるじゃん」と言われます。あるんですよね。会社に送った請求書を送れば、いくらかの手数料をとって、即日先払いしてくれる会社。
たとえば、yup株式会社とかですね。
これはとてもありがたいのですが、通用するのは上記の2つ目の出版社の例の話だけ。1つ目については請求書を送ることすらずっと先のことなので、対応してもらえないことになります。これはなかなか難しいですよね。
もちろん、すべてのプロジェクトがそうだとは限りません。編集プロダクションのような会社が入っていれば、そこが立て替えてクリエイターに払ってくれるもありますし、プロジェクトによってはマイルストーン形式で、段階的にお金をもらえるパターンもあります。ぜひ、契約前に確認してみてくださいね。